Cocco
Cocco 20周年記念ベストアルバム 「20周年リクエストベスト+レアトラックス」の選曲は、スペシャルサイトにて行われたファンの皆様からのリクエストを中心に全44曲が収録されている。
そして、昨年ロングランヒットを記録した「リップヴァンウィンクルの花嫁」にも出演。
今回Meの編集部はCoccoさんにインタビューを敢行!20周年を迎えた心境や、Coccoさんの女性観についても伺いました!
みんなの20年だから、みんながいいようにしようって・・・
――まずは20周年おめでとうございます!20周年を迎えた今、率直にどんな気持ちですか?
20周年を迎えるまでは、達成感に満ち溢れるだろうなって予想してたの。でも、いざ20周年になると、インタビューとかラジオで会う人に、「自分は35周年なんですよ~」みたいな風に言われて、自分が恥ずかしくなって。まだ20周年なんだなあって。人生って達成した気持ちになっても、常に上には上があって、ゴールってないんだろうなあって、今ちょうど感じている真っ最中。
――20年という月日は、Coccoさんにとって長かったですか?
たぶんすごく長かったけど、もはや覚えてない(笑)。振り返ったら楽しいことしか浮かばないっていうか。
――先月ベストアルバムが発売されましたが、これはファンの方からの投票という形で収録曲を決めていますよね!どうやってこの形式に決まったんですか?
ベストアルバムを作るときに、スタッフみんなからアイデアを募ったの。オリジナルアルバムの時は一から十まで全部自分の思い通りにしちゃうから、気に入らないことは認めなかったりしてたんだけど(笑)。でも今回は、みんなの20年だから、みんながいいようにしようって。そしたらファン投票ってアイディアが出て、採用!他にも、「小さいときの写真とか載せない?」って言われたら、探すのめんどくさいとか言わないで、探してきて(笑)。
――まさか入ってくるとは思わなかった、っていう意外な曲なんかはありますか?
あった!シングルのカップリングとか。当時、自分たちは走ることに一生懸命で忘れていたけど、そうやってこぼれ落ちたものにもまだ光が当たってるんだって思ったよ。私たちがデビューした頃は、シングルがまだ100万枚売れていて、そういう時代のカップリング曲は、次の曲を待ちわびながら何回も何回も聴くっていう役割を持ってたんだよね。そういう人が選んでくれたんだなあって。
――4月には、仙台でARABAKIの出演が決まっていますが、なにか仙台の印象や、思い出はありますか?
一番最初に仙台に来た時は、ラジオのプロモーションだったの。そこで、みんなが歓迎してくれたのを覚えてる。その生放送で、仙台で一番おいしいっていうおすすめのずんだもちを用意してくれたんだけど実は、結構ずんだもち苦手で(笑)。「絶対においしいから食べて!」って言われたときの、あのパーソナリティの目の輝き、それを裏切れない!っていう責任(笑)。何を話したか覚えてないくらい、めっちゃ頑張って美味しそうに食べたなあ。でもそれが嫌な思い出じゃなくて、沖縄でも”かめかめおばあ”っていう文化があって。「食べなさい、食べなさい」ってたくさん食べさせてくれるおばあちゃん。それを思い出したの。
――それ以後ずんだもちとは…?
疎遠になってる(笑)。
――仙台のライブのお客さんの印象とかは?
ap bank fes 2016で、すごく歓迎されたのを覚えてる。来てよかった、って思ったなあ。同じ年のツアー“Adan Ballet”ツアーで仙台PITに来たときは、ap bankのときとは違う、オリジナルのアレンジでどうしても歌いたい曲があって、それを仙台でセットリストに組み込んだり。
――7月12日、14日には、『Cocco 20周年記念 Special Live at 日本武道館 2days ~ 一の巻 × 二の巻 ~』が日本武道館で行われますが、こんなライブになるだろうなっていうものは、もう見えてきていますか?
大変なライブになると思う!一の巻を初期メンバー、二の巻を今のメンバーで、って決めた段階では面白いことになるぞ、ってわくわくしてたんだけど、いざセットリストを考え始めたら、大変なことしてしまったなって…。リハも二倍だし。「やっちまったな」ってほうが今は強い(笑)。
でも、コンセプトとしては、私はファンクラブを作らなかったから、ファンの人たちのために、って感じで考えたの。Coccoファンって、ライブも一人で見に来る、みたいな自立した女が多くって、この人たちも、一度みんなで集えたら楽しいだろうなって。彼女たちも昔より大人になって、ある程度お金も時間も、自分で使えるようになってると思うしね。そしたら、有給使ったり、子ども預けたりして、ライブのついでに、東京でなにかやっておきたかったことが一つはあると思うから、それをしに来つつ…。例えば好きだった先輩が東京の青山に行って、いい街らしいから行ってみたかったなあ、みたいな。それと合わせて、ライブを楽しんでほしい。
――これまでの活動について振り返れればと思うんですが、1996年に「カウントダウン」でデビューということで、デビューのきっかけはなんだったんでしょう?
高校生の時に沖縄でバレエをやってて、卒業したら東京でダンサーになりたいと思っていたの。ダンスのオーディションを受けるために、アルバイトもしていたんだけど、全然足りてなくて、そしたらその時に、姉が見てた雑誌のオーディションの賞金が100万円だったの!それがビクターの新人発掘オーディションだったんだけど、「100万円もらえたら、オーディションたくさん受けられるよ」って姉に勧められて、デモテープを録音して送ったら、二次審査に来てくださいって、飛行機のチケットが送られてきたわけ。それで、オーディションに行ったんだけど、その日にバレエのオーディションもあったから、面接でも、「すいません。本当は歌手になる気はないんです」って素直に答えたのね(笑)。結局、どちらのオーディションも落ちて、傷心で沖縄に帰ったさ。そしたら、その時に私を見ていたスタッフの人が、私のことを沖縄まで探しに来てくれたの。ちょうどそのとき、私が学園祭でやるバンドの宣伝がラジオで読まれて、それをたまたま聞いて探してくれて。「歌手にならない?」って言われたんだけど、その時はダンサーになりたいからって断って、でもその人が、おなかすいたら東京でご馳走するよ、って名刺をくれたの。「絶対連絡しない」って思ってたんだけど、上京して、オーディション受けて落ちまくる日々で、お腹がすいて、とうとう電話をかけてしまって(笑)。そうやってご馳走してもらうのを繰り返すうちに、いつの間にか…(笑)。
でも私は、ダンサーとして成功するっていう夢があったから、歌手に一度も憧れたことがなかったし、不本意で、デビューしたこともまわりに内緒にしてたの。まあみんな知ってたけど(笑)。
――歌手になりたくて、という理由じゃなかったにもかかわらず、「カウントダウン」は結構強い感情がこもった曲ですよね。当時はどんな思いだったんですか?
「カウントダウン」は、ある日頭の中でずっと鳴ってる歌があって、スタッフさんに「これ誰の曲?」って聞いたら、「きっとそれ、Coccoの曲だよ」って言われて。で、それをレコーディングしたの。
当時は、音符が読めて楽器が弾ける人が、曲を作るって思ってたから、こんな風に頭で鳴ってるだけの形のない音楽が作曲だと思ってなくて。これが作詞作曲なの?って。
演技は同じところを、100回くらいできる
――昨年は映画「リップヴァンウィンクルの花嫁」に出演していましたが、演技をはじめるきっかけはなんだったんでしょう?
デビュー当時のディレクターに「Coccoは絶対女優になるよ」って言われたの。その時は歌手を早くやめてダンサーになりたかったから、「余計なこと言わないで」って思ってたんだけど、そのディレクターが亡くなったときに、彼の言ってたことを立証したくなったんだよね。それと、うちの祖父がもともと沖縄芝居をやっていて、芝居がすごく身近にあったから、自然なことなんだろうなあって。
――Coccoさんにとって、演じることと歌うことはどう違いますか?
歌はコントロールできないもの。出かける前とかも、今日は音が鳴りませんように、って思っちゃうくらい、鳴り出したらそれを聞かずにはいられない。歌は前に進むしかないものなんだよね。でも演技は、スタートがかかったら始めて、カットって言われたら終わって、全てがアンダーコントロールできることだから、めちゃくちゃ楽しい。演技は同じところを、100回くらいできるよ。
――これからもずっと演技は続けていきたいですか?
いつか、「あれ?Coccoって元々は歌手だったの?」ってなりたい(笑)。
――今後やってみたい役はありますか?
今のところ死ぬ役ばっかりだからね!死なない役とか?(笑)車を運転する役とかもいいなあ。運転できないから(笑)。
――これまでも、絵やエッセイで文章など、歌うことだけでなく様々なことに挑戦していますが、今後挑戦したいことはありますか?
将来は、ラジオパーソナリティになって絵本を書きながら、物販をするっていうのが理想(笑)。今は音楽もCDが主流じゃなくなって形が分からなくなってしまったけど、アパレルとかモノづくりはまだ手で掴めるものだから、それがすごく楽しいの。
――もし歌手をやっていなかったら、今のCoccoさんは何になっていると思いますか?
完全にぐれてたと思う!完全にヤンキーのまま。「不本意な人生だ」って、ずっと思ってたけど、これまでを振り返って、なんていい人生をもらったんだろうって。歌ってなかったら、こんなに愛し愛される人生ってなかっただろうなあ、って。
女とは、「受け入れること」
――Coccoさんは今も、新しいことに様々挑戦し続けていますよね。そういう生き方ってきっと同年代の女性からすると、自由で力強い存在だと思うんですね。女性に対して思うこととか、Coccoさんの女性観みたいなものってありますか?
今、40才になって思う”女とは”、「受け入れること」だなって。男性はいつまでもこどものままだから、結局女性が受け入れるしかないんだよね。でも、20代ではまだ難しいよね、きっと!「男が受け入れろよ!」って思うよ(笑)。20代のころはもっと男性にイライラしてたなあ。でも今はもうこどもだってわかってるから、何も責めることがない。世界平和につながってると思う(笑)。受け入れ始めると、どんどんモテるよ!(笑)
――息子さんとはどういう親子関係ですか?
私はもちろん息子より年上だし親だから、経験から偉そうなこと言っちゃうのよ。彼が一生懸命考えたことでも、「いやそれ、ないよ」って。でも、回り道したほうがドラマがあって、穴に落ちたほうが思い出ができるわけ。なのにそれを、なるべく最短で済ませてあげたいと思って、とやかく言っちゃうんだよね。でも言わないのが一番いいってことに、気づいた!穴に落ちるのを見てればいいし、その覚悟を持って見る勇気を持つのが一番大事なんだよね。日々感動と反省です。
――本日は、ありがとうございました。最後に、Meの読者にメッセージを頂ければと思います。
私は生まれ変わったら、男になりたい(笑)。それくらい大変なんだよ、女の人って!でも、大変だから楽しいことも100倍くらいになるし、だからこそ見れる世界があると思う。特に、私より年下の人!私は今まで生きてて、今が一番幸せだから、きっと常に、先にしか一番の幸せはやってこない。生き方って、生きることでしか学べないから、生き方を一緒に学ぼう!
CD情報
Cocco 20周年記念ベストアルバム 「20周年リクエストベスト+レアトラックス」
2017.3.21 Release
■初回限定盤A
VIZL-1130 ¥8,900+税
<完全生産限定盤 “20周年特別仕様” 特大金の箔押しロゴケース+3CD+DVD+豪華ブックレット>
■初回盤B
VIZL-1131 ¥5,900+税(金の箔押しロゴケース仕様 3CD+DVD)
■通常盤
VICL-64753 ¥3,900+税 (3CD)
DVD情報
「Cocco Live Tour 2016 “Adan Ballet” -2016.10.11-」
2017.3.21 Release
Blu-ray / DVD