宮田悟志
グループ活動終了から、ソロボーカリストとして多岐にわたり活動してきた宮田悟志。
1月10日はBREATHEとして、ラストライブとなった日。 そこから2年の時を経て、自身のスタートとなるソロデビューアルバム 「RISE」 をリリースする。
●キャリアを通して初のアルバム・リリースにあたって、これまでの時間をどう捉えていますか?
「ソロ活動前、BREATHEとしてデビューさせていただいたのが2011年。あれから約6年という時間の中で、BREATHEの活動終了など本当にいろんな出来事を経験しました。でも、今感じていることは、その6年間があったからこそソロの宮田悟志があるということなんです。ここからもう一度ボーカリストとして立ち上がっていこうという想いを込めて、初めてのアルバムとなる今作に『RISE』というタイトルを掲げました。今作の発売日を1月10日にしたのにも理由があって、BREATHEが最後にライヴを行った日が、もう一度スタートの日になるようにという想いからなんです」
●2016年4月にBREATHEの活動を終了し、ソロ・シンガーとして始動した当時は、どのような心境でしたか?
「とにかくスタートしなえればという気持ちが強かったです。歌っていないと終わってしまう気がして、できるだけ早くひとりでもライヴをやろうと決めました。なので、2016年4月にグループとしての活動が終了して、その2ヶ月後にはソロ・ライヴをやらせてもらいました。本当にこんなにもひとりで歌うのって大変なことなんだっていうのが、当時の率直な感想でした。でも、これも自分の試練であり、乗り越えればひと皮むけるのかなという実感もありました。EXILE MATSUさんから舞台『かげろう』のお話をいただいたのも、ちょうどの頃。その後も別の舞台やナレーションの仕事を経験させていただき、新たな経験が歌の表現の幅も広げていってくれたと思っています。BREATHE解散という悲しみを乗り越えて、自ら積極的に動くことで、ソロとしての不安を払拭していった感じです」
●ソロ活動始動後、2016年12月には初の全国ツアー『宮田悟志 STORY acoustic live tour』を7都市で開催。その後も定期的にコンセプト・ライヴ『mariage!』を行ってきました。こうしたライヴを続けてきたことで、実感していることは何ですか?
「アコースティック・ライヴにしたのは、歌をシンプルに届けたいと思ったからなんです。ソロとしてのテーマは、バラードやラヴ・ソングを丁寧に届けていくことだと思っていました。アコースティックというシンプルな編成で、どれだけ自分の歌をお客さんに届けられるか、そういったプレッシャーを自分自身にかけていました。その延長で、お酒があって料理があって、座ってゆっくり音楽を楽しめるというコンセプト・ライヴ『mariage!』を企画しました。ソロになってから、よりシンプルに歌を届けることへの意識が強くなっている実感はあります」
●EXILEの松本利夫さん演出による舞台『かげろう』では、ご自身作詞の主題歌「かげろう」を担当されましたが、こちらはどのような経緯で実現したのでしょうか?
「歌以外でチャレンジした初めてのお仕事だったので、凄く思い入れがあります。舞台で歌うシーンが欲しいからとEXILE MATSUさんから直接お声かけいただいたんです。EXILE MATSUさんがEXILEを勇退された直後に書かれた脚本だったので、新たなスタートという意味では同じ境遇だねっていうお話、さらにはEXILEさんにはないようなアプローチの曲が欲しいというリクエストもいただきました。夏の舞台だったので、どこか懐かしい、夏の終わりの切ない曲を3曲用意したんです。そうしたら「めちゃくちゃいいじゃん!」と、まっ先にこの曲を選んでくださったのが嬉しかったです」
●挑戦は続き、短編映画『Naoki~Time Is Life~』では主演を務めるとともに、主題歌「Mask」を書き下ろしつつ、劇中のBGMも手がけました。どのような想いで主題歌を制作していったのでしょうか?
「台本を読んでから曲を作り始めました。この映画は、主人公のNaokiが唯一の親であるお母さんを亡くしてしまうんですけど、それでも独りで強く生きていくっていうストーリーなんです。僕もソロとしてスタートした当時は不安や葛藤がありましたが、周りの方々に支えていただいたことでスイッチが入る瞬間があったんです。きっとNaokiも、そういった瞬間があったと思うんです。そんな主人公の心境と自分を重ね合わせながら、悲しみと向き合うことで人は強くなるんだというメッセージを曲に託しました」
●改めて今回の1stアルバム『RISE』は、どのようなイメージで制作に入ったのでしょうか?
「今の僕にしか作れないボーカリスト作品にしたいという想いが最初にありました。BREATHE解散の悲しみやソロでの不安や葛藤というトライアルがあったからこそ、でき上がった作品だと思っています。新曲はもちろんですけど、既発曲の「サンラーラ」も「かげろう」も「Mask」も、やっぱり僕の想いが色濃く反映されている曲だと感じています。あとは、宮田悟志という名前を初めて耳にするリスナーの方が聴いても、しっかり楽しめるアルバムにしたいと思って制作しました。切ない曲が多いですけど、単に悲しいだけじゃなくて、それを乗り越えていくことをテーマにしているので、そこも感じてとっていただきたいです」
●では、表題曲の「RISE」はどのような想いを込めた楽曲なのでしょうか?
「ファースト・アルバムの表題曲なので、ソロとしての決意を込めた曲が作りたかったんです。自分を叱咤激励するじゃないですけど、ずっと野球をやってきたこともあって、体育会系の方々も共感してくれるような世界観にしたかったんです。「そんなにがんばらなくても大丈夫だよ」とか「一度休んでみなよ」とか、そういうメッセージではなく、壁にぶち当たったなら自分でこじ開けて乗り越えていけ! みたいなSっ気がありますね(笑)。自分に向けて歌っている曲でもあるんですけど、背中をドンと押してあげられる曲だと思います」
●デビュー当時から制作に携わってきた和田昌也さんも制作に携わっていますが、どのようなやり取りがあったのでしょうか?
「歌詞は和田さんとの共作なんですけど、この曲で宮田が立ち上がるんだっていう気持ちで一緒に書いてくれたと思います。トラックには関しては、ボーカリストが歌うEDMってどんなだろうねってことをテーマに制作していきました。ボーカリストを目指している方たちにも、こういうアプローチもあるんだ! と思って感想をもらえる曲にしたかったのもあります」
●MVでは、中学時代の野球仲間である東京ヤクルトスワローズの雄平選手が特別出演。どのような経緯で実現したのでしょうか?
「彼は2017シーズンにケガをしてしまって、そこから試合に出られずリハビリを続けてきたんです。シーズン最後の試合に4番で戻ってきたんですけど、彼にとって今シーズンは悔しさが残るシーズンだったと思うんです。雄平と話した時も、2018年はゼロからの勝負の年になると言っていました。ちょうど僕が「RISE」を書いている時に聞いたので、何だか自分のことのようにも思えたんです。だったら自分のことだけではなく、雄平のことも応援できる曲にしてもいいかなと思って、歌詞を少し書き換えたんです。そういう経緯もあって、最初の歌詞よりもスポコン度合いが上がりました(笑)。この流れなら…と考えてMVに雄平も出演してもらって、母校の専修大学のグラウンドで撮影しました。4年間練習していた原点の場所で、またここからのスタートだという想いをMVに込めました」
●ここからは本作収録の新録曲についてうかがっていきます。まずは「Sorry~海になれない~」について解説をお願いします。
「初めて作詞家の小竹正人さんに歌詞を書いていただいた曲です。やっぱり小竹さんじゃないと書けない世界観で、この曲は海のような広い心を持てたらよかったのにという後悔を歌っているんです。副題が「~海になれない~」ですから。こんな副題は考えつかないですよ。もうこれは小説の世界だなって、改めて小竹さんの凄さを痛感した曲です。MVは和歌山の白浜で撮影したんですけど、悲しみと涙をイメージさせる素敵な映像に仕上がったと思います」
●続いて「アレコレ」についても聞かせてください。
「この曲も作詞家の小竹さんに歌詞を書いていただきました。小竹さんがエロティシズム的な歌詞を書くのって、かなりレアだと思うんです。Flowerや三代目J Soul Brothers、GENERATIONSの楽曲にはない、大人の歌詞を書いてくださっだんです。〈同じ熱を含みながら 同じ場所を濡らして 同じ吐息漏らして〉って、ベッド・シーンの話しをしているんですけど、不思議とエロく感じないんです。少しも下品ではなく、美しさすら感じさせるんです。小竹さんから「宮田だから書けた歌詞」とおっしゃっていただけたのが、凄く嬉しかったです」
●アコースティック・ツアーでも披露してきた「Goodbye」について、改めて曲に込めた世界観を教えてください。
「ずっと歌ってきた曲ではあるんですけど、このアルバムに収録するにあたり、歌詞とアレンジをリニューアルした上でタイトルも変更しました。ツアーで歌っていた時とは、印象が少し変わっていると思います。歌詞は男女が別れる時に一番切なくなる瞬間ってどのタイミングなんだろうということをテーマに書いてもらいました。この曲は女性目線で男性の気持ちを描いた歌詞です。別れるとわかっているのに、その彼女に優しくされてしまう男って、凄く切ないじゃないですか。それでも強がってクールに演じてしまう男心に、共感してくれる人は多いと思います」
●「Dried Flower」はどんな楽曲になっていますか?
「BREATHE時代に歌っていた「合鍵」という曲があるんですけど、そのソロ・バージョンというイメージですかね。EXILEさんの「Ti Amo」に代表される日本のR&Bを意識しました。松尾潔さんが言う、〈お箸の国のR&B〉と言いますか。メロディが歌謡曲なバラードで、大人の方にも耳を傾けていただける曲になっていたら嬉しいです」
●まだコメントいただいていない本作収録の既発曲についても聞かせてください。ソロ活動時から歌い続けてきた「僕はコウモリ」は、ご自身にとってどんな曲ですか?
「ソロ活動をスタートした時から歌い続けている曲なので、思い入れも強く、ファンの方の間でも浸透している曲だと思います。SNSでも「僕はコウモリ」の音源化を楽しみにしていますという書き込みをたくさんいただいて来たので、このタイミングで今作に収録できて嬉しいです。コンセプト・ライヴ『mariage!』をバンド編成でやってきたこともあって、この曲のアレンジも少しバンド仕様になっています」
●BREATHEとしてストリート・ライヴ時代から愛されてきた楽曲「待ってて」も大切な曲ですね?
「はい。BREATHEとしてもリリースしていない曲なので、今回が初音源化です。BREATHEの曲の中でも一番と言っていいほど人気の曲だったので、プレッシャーを感じながらのレコーディングでした。リリースするなら今しかないと思って、松尾潔さんに承諾をいただくためにお手紙を書いたんです。松尾さんは僕の「サンサーラ」を聴いてくださっていて、それで宮田ひとりでも「待ってて」を歌えると判断してくださったそうです。2ndアルバムでも3rdアルバムでもなく、このタイミングでしか収録できなかった、僕にとっても大切な楽曲です」
●「STORY」もソロ活動時から歌い続けてきた楽曲ですよね?
「僕にとってはスタートになる曲で、自分のこれからのストーリー、そして自分を鼓舞する気持ちで作った曲です。昨年のツアー会場限定で音源化している曲なんですけど、今作の11曲目に収録したのは、このアルバムをきっかけにソロ・ボーカリストとして立ち上がるんだという気持ちがあったから。自分の周りには応援してくれる人がこんなにいるんだ、そう気づけたという内容の歌詞なので、アルバムの最後に収録する曲にはぴったりだと思っています」
●本作『RISE』を手に取ってくださる方に、どんなメッセージを受け取って欲しいですか?
「もう一度ここから立ち上がるんだっていう、リアルな気持ちを込めさせていただきました。生きていれば、悲しいこと、辛いこと、悩むことは誰にでも訪れると思います。そういう意味では、誰もが経験したことがある感情を歌った曲が並んだと思っています。悲しいという感情があるということは、それ以前に楽しい、幸せな経験をしているということだと思うんです。生きるということをテーマに、リスナーの方に寄り添えるアルバムになったと思います」
●今後、どんな活動イメージしてますか?
「このアルバムに収録した曲をたくさんの方々にお届けしたいので、自分の脚で広い範囲でアルバムを届けていけるような活動をしていきたいと思っています。BREATHEというグループ名を知っていても、宮田悟志として活動していることを知らない人も多いと思うので、ゼロからの感覚で自分の曲を届けていきたいと思っています」
●最後に、1stアルバムを楽しみに待ってくれていたファンのみなさんにメッセージをお願いします。
「BREATHE時代から応援してくださっている方々には、3年半ぶりのリリースになります。そして、オリジナル・アルバムは一度もリリースしたことがなかったので、僕にとっても念願のフル・アルバムが完成しました。お待たせしてしまいましたが、自分でも納得のできる思い入れの深い1枚になりました。切ない曲、悲しい曲がたくさんありますが、その悲しみを乗り越えて人は大きくなっていくという前向きなメッセージが込められているので、みなさんの生活に少しでも寄り添える作品になれば嬉しいです。ぜひ聴いてください」
interview:NOBUHIKO MABUCHI
CD情報
2018年1月10日(水)発売
『RISE』
イベント情報
◎『mariage! vol.5 ~X’mas Special~』
2017月12月24日(日)目黒Blues Alley Japan
◎『JAPAN EXPO THAILAND 2018』
2018年1月26日(金)~28日(日)セントラルワールドプラザ(屋外&屋内スペース)
公式サイト
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