LOVE PSYCHEDELICO
LOVE PSYCHEDELICO(ラブ・サイケデリコ)
2000年4月「LADY MADONNA~憂鬱なるスパイダー~」で衝撃的なデビューを果たし、音楽業界を震撼させた。 もはや”DELICO SOUNDS”という言葉すら浸透しており、その根幹はNAOKIの印象的なリフと、日本語と英語が自然な形で行き交う独特な歌詞・存在感あるKUMIのヴォーカルスタイルにある。
Meの編集部がLOVE PSYCHEDELICOのKUMIさんとNAOKIさんに独占インタビュー!4年ぶりに発売されたアルバムについてや、仙台の印象について伺いました!
――先月発売されたアルバム「LOVE YOUR LOVE」について、4年ぶりのアルバムということですが、アルバムの制作はいつごろからはじめたんですか?
KUMI 本格的にレコーディングを始めたのは1年前。2年前に、15周年でベストアルバムのリリースがあって、その全国ツアーをしていたんだよね。その時に、「そろそろ新曲欲しいね」ってなって。
NAOKI ベスト盤で過去の曲をやって、それはそれで楽しかったんだけどね。
KUMI 前作を作り終わってからわりとすぐ曲を書いてはいたんだけど、アルバムのレコーディング、という風にはならなくて。それよりもライブだねって話をして、そこから二人だけのアコースティックライブツアーを始めて。
――そのアコースティックライブも、お二人にとって初めての試みだったと思うんですがきっかけは?
KUMI わりとカフェとか、身近なところで気楽に…気楽ってわけにもいかないんだけどね(笑)。もっと身近にライブがあったらいいなってずっと思っていて、それがきっかけかな。
NAOKI でも、演奏って二人が一番緊張感あるよね(笑)。一人だと、例えば歌詞忘れてもギターを弾いてればいいし、三人だったらアンサンブルの楽しさがあってそれが緊張感を上回るし、四人になったらもっと楽しいし。でも、二人はお互いの呼吸だけだから。
――二人で演奏するのは、懐かしい感覚だったんですか?
KUMI というよりも、再発見が多かったかな。相手の演奏に対しても、楽曲に対しても。それまでバンドでやってたアレンジを二人でやるアレンジに変えるときに、楽曲の核が見えてきて。この曲はここを聴かせたかったんだなとか、ここがポイントだったんだなっていう。
――今回のアルバムでは、レコーディングからミックスまで、ほぼ二人で行ったと聞いたのですが、そうなるきっかけみたいなものはあったんでしょうか?
NAOKI ミックスに関しては、自分たちで全部やりたかったというより、自然に仕上げたかった。エンジニアの方と一緒に作業をすると、出来上がった時に「あれ?こんなにかっこよくする予定だったっけ?」みたいな。盛るというか、プリクラみたいな感じになっていて(笑)。
LOVE PSYCHEDELICO Live Tour 2017 LOVE YOUR LOVE
――9月から、アルバムのツアーがはじまりますが、今回のツアーはどういったツアーになりますか?
KUMI 今は、新曲をどういう風に演奏しようかなって考え始めているし、今回はメンバーも新しくしようと思っていますね。
NAOKI だいぶ新鮮なツアーになるよね。新曲もたくさんやるだろうし、新しいバンドだからね。
KUMI これからはいろんな方と音楽をやっていきたいよね。もちろん前のバンドとまたやることもあるし。
NAOKI この前apbankで仙台に来た時も、気心の知れたバンドの方々とやれてすごく楽しかったし、自分たちの曲に、いろんな人たちがいろんな形で入る幸せ。そういうのを今はたくさん感じたいなって。
KUMI それはこの4年間に起こった変化だね。これまでは、10年間一緒にやってたあのバンドじゃないと、ライブはやらないって思っていたけど、二人でのライブも新しい表現を見つけるきっかけになったし、ベストのツアーでも、高橋幸宏さん(YMO)がドラムとして参加してくださって、そこでまた素晴らしいミュージシャンと出会う楽しさを教えてもらったし。
――タイトルである「LOVE YOUR LOVE」にはどんなメッセージが込められているんでしょう?
NAOKI アルバムに対するタイトルというより、今の自分たちの感覚でメッセージを送りたかったんだよね。タイトル部分の、自由に使っていいスペースを使ってメッセージを届ける感覚。タイトルなら、CDを買わなかった人にも届くじゃないですか。だからアルバムの総括というよりは、今自分たちがみんなに一言メッセージを届けるなら、これ。
KUMI LOVEっていうものを、また改めてみんなに感じてほしいなって思って。
――LOVEは、ずっとお二人にとっては大きなテーマなんでしょうか?
KUMI それは変わらずそうだね。エネルギーみたいなことだよね。明るさだったり、素直さだったり。
NAOKI なぞなぞじゃないけど、みんなにはラブユア○○、みたいな感じで、好きな言葉をはめてほしいよね。LOVE YOUR LIFE、LOVE YOUR LOVER…なんでも。そういう広い意味があるよね。
KUMI 私たちの音楽は、いつでもみんなの日常に溶け込める音楽であればいいなって、ずっと考えてるよね。
NAOKI 音楽のジャンルの垣根もなく、みんながドライブとかする時に聴いていて楽しい音楽を、作りたいよね。
――確かにLOVE PSYCHEDELICOさんの音楽は、ドライブなどでかけたりする曲っていう印象があるんですが、映画「昼顔」の主題歌にもなっている「Place Of Love」は、少し意外でした。あの楽曲はどういったイメージで進められたんですか?
KUMI 西谷弘監督とご一緒するのは、「任侠ヘルパー」に続いて二回目で、前回はもう既にある曲に対して、EDで使わせてくださいとオファーがあって。でも今回は、台本もあって、映像も大体撮り終えている段階でお話をいただいて、それを見ながらイメージを膨らませて作りました。
――タイアップがあって曲を作るのは、いつもとは違う感覚ですか?
KUMI 新しいインスパイアが増える感じだね。自分たちの中だけでは出てこない発想やテーマがあるから、それはすごく楽しいかな。メロディは元からあったけど、曲の世界観とかは、映画がないとああいう風にはならなかったかな。
NAOKI 実際にあのストリングスは、映像を見て思いついたんだよね。本当は、ベースの静かな小曲みたいなつもりでストックしていて。でも映像を見て、ストリングスにしたらより映画に合うかもしれないねって話から始まったよね。
結成20年、お互いの関係性は?
――歌詞はどのように書き進められているんでしょう?
KUMI 二人で書いてるね。曲があって、メロディもなんとなく見えてきてから歌詞を書くんだけど、曲が呼んでる感覚。その曲をイメージしていると、ふとあるところに言葉が下りてきて最初にテーマが見える場合もあるし、断片的なイメージから徐々に明確になるときもあるし。
――曲に対するテーマの認識は、いつもお二人で食い違うことはないんですか?
KUMI どの曲も、いつもそんなに大きくは違わないし、こちらに別のアイディアがあっても、「こうじゃない?」って話し合うとまた新しい道が見つかったり。
――お二人の認識にあまり差がないというのは、バンドとして長続きしてきた秘訣でもありますか?
NAOKI 僕らの進め方は特殊だよね(笑)。でも僕らがお互いに向かい合ってるというよりは、二人とも曲と向き合ってる。だから、ぶつからずに続けてこれたかな。
KUMI そこが面白いよね。まだ形になっていないものを捉える感覚が限りなく近いかなって。
NAOKI だから、お互いが特に相談もなしに、例えば僕がミックスを先にすすめるとか、KUMIが歌詞を書いてきちゃうとか、そういうことがあっても、「え?そっちいっちゃったの?」みたいなことがない。一緒に作業していなくても、後から見て「そういうことだよね」って。
――曲に対して見えてるものが一緒、っていうのは結成当時からずっとですか?
KUMI 最初からだった気がするね。
――もう20周年になりますが、お互いの関係性に変化なんかはありますか?
NAOKI 変わらないねえ。
――大学の先輩後輩だったんですよね?
NAOKI あ、その関係は変わったね(笑)。
KUMI 一応先輩だとは思ってるよ(笑)。すっかり呼び捨てになっちゃってるからなあ。
NAOKI 先輩呼びも最初の二か月くらいだよ(笑)。でもそもそも音楽サークルだったから、全体的に先輩後輩なかったよね。音楽ってそうだよね。
KUMI 今も、高橋幸宏さんとか大先輩だけど、勝手にどこかで仲間とか友達みたいに思っていて。
NAOKI 音楽をやっているときって、お互いそういう部分を取っ払ってできるからね。
KUMI 音楽のすごく好きなところだね。
――お互いのことをどんな人だっていう風に考えていますか?
KUMI 20年一緒にいても、きっと私の知らないNAOKIが山ほどあるんだろうね。でも、音楽に向き合う姿が変わらないから、ずっと変わらない人だなあと思うね。ほかはいろいろ変わってるのかもしれないけれど。あと、エゴのない人。自分がこうしたい、ああしたいじゃなくて、楽曲がどうありたいかに身を捧げてる感じ。
NAOKI 僕は、頼もしい相棒だと思ってますね。決断力があって。LOVE PSYCHEDELICOの実質的リーダーが僕。精神的リーダーがKUMI。
――担ってる役割が違うんですね。
KUMI 任せる部分は任せて、楽で居させてもらえるところもあるよね。
NAOKI そうやって言うとかっこいいけど、結局バンドは、仲がいいのが一番。THE BAWDIES見てても、OKAMOTO’S見ていても、本当に仲いいしね。
――仙台にはARABAKIなどでも訪れていただいてますが、仙台の印象は?
NAOKI よく来る(笑)。
KUMI ライブする機会がすごく多いもんね。
NAOKI フレンドリーでファミリーみたいな温かい空気感だよね。いつも駆けつけてくれる仙台のファンのみんなの顔もよく覚えているし。あと、人と人をすごく大切にしている人たちが多いよね。今年のARABAKIでやった「LOVE PSYCHEDELICO SING BOB DYLAN」も、僕たちがずっと一緒にやっているGIPの方が東京に来てくれて、「みんなにプレゼントしませんか?」って企画してくれて。人と人との繋がりを大切にするというより、そういうものが根底にあるよね。
――LOVE PSYCHEDELICOさんの、今後の目標はありますか?
KUMI またいい曲が書きたいかな。
NAOKI ライブをやる会場とかスケールとかは、その時その時だね。
KUMI どこで何をやっても楽しいから、決めちゃうより、その時のお楽しみにしたいよね。
NAOKI 僕らはどこでも音楽をやる、ってことかなあ。
――最後に、Meの読者に向けて、メッセージをお願いします。
KUMI 日常を大切に、愛を大事にしてください。
NAOKI 仙台に来る機会も多いと思うし、是非どこかの会場で会えたらなと思います。
CD情報
2017年7月5日発売
●通常盤(CD) : VICL-64802 / ¥3,000(+税)
●初回限定盤(2CD) : VIZL-1176 / ¥3,500(+税)
ライブ情報
2017/9/9(土) 仙台Rensa 16:00開場/17:00開演