藤巻亮太
今回Meの編集部は藤巻亮太さんにインタビューを敢行!2017年9月20日発売の3rd Album 「北極星」への思いや、プライベートについても伺いました!
ーー今回のアルバムはどんな内容になっていますか?
レミオロメンを休止して、ソロになってから3作目になるんですけど、自分の中から自然に湧いてきた音楽というか、1作目2作目は説明できるんですけど、3作目となった「北極星」は自然と日常生きてる中で日々思うことをそのまま曲に出来たアルバムなので、3作ある中で一番自分自身の ソロと言ったらこの「北極星」だって言える くらい、作為的でもなく自然とソロ活動を5年やってきて培ったことすべてが表現できたアルバムになってますね。
ーー「北極星」にはどんな意味が込められていますか?
北極星は地球が自転して周っていてもずっと北を指し示している星じゃないですか、だから変わらないものの象徴として目印になるような星で、音楽を始めた頃に聞いてくれていた人のことを考えたり、ただ音を出すことが楽しくてそこに言葉を紡いで何か一曲作品ができた時の感動があって、そこには色々作為的なものはないからこそ逆に多くの人が感じるものが多分色々あって、そういう時にできた音楽によって僕たちはデビューできたと思うんですよね。でも、活動していく中でどうやったらみんなにもっと喜んでもらえるだろうって試行錯誤はやっぱりあって、どこか迷いながら初期衝動とは違うところで考えたりして作っていく部分も当然増えていって、それはそれで僕は悪いことじゃないって思ってるんですけど、ただ、一番最初にナチュラルに出てきたものはすば抜けていいものは宿ってるんですよね。 ”0から1”になる瞬間 というか。経験を積むと今度は1とか2の組み合わせみたいなこともできるんですよ、だけど、”0から1”になった時に生まれる瞬間の感動は一番音楽には大事で、そこの部分はすごく自然と出てきたアルバムじゃないかと思いますね。
ーー制作中のエピソードはありますか?
僕の地元は山梨県なんですけど、2年前の夏に実家の近くの公民館にギターを持ち込んで曲作りをしたんですけど、畳と座布団と低いテーブルしかない本当田舎の公民館で、そこの窓を開けたらぶどう畑と、桃畑と甲府盆地が見えて、その先に南アルプスが見えて、自分が生まれてから18年間育った景色がそこにあって、ここで出会った人たちとかここで起こったことが今の自分を作っていて、まさしくこれが自分の原点なんだなって。そして、この街でレミオロメンの二人に出会ってそこでバンドを組んだことが自分達の人生を大きく変えた一番大きな出来事だったと思うんですよね。休止して6年経っていてますが、公民館で甲府盆地を眺めながら 2人への思いとか音楽が出来ることへの感謝 とかいろんな思いが湧いてきて、それで出来た曲が「北極星」なんです。一番楽しいね、ワクワクするねって音楽を始めた時のあの楽しさとか感動が自分の原点であり、北極星なんだっていうのを再確認出来ましたね。
ーー藤巻さんは小さい頃どんなお子さんだったんですか?
どこか今も変わってない部分もあって、いとことかも近所に住んでて僕は3人兄弟で長男なんですけど、いとこも含めて僕は初孫だったので、可愛がられて育ったってみんな言うんですけど、その分多分どこかわがままで、自分のやりたいようにしたいところが小さい頃からあって、わりと小学校の頃とかは暴れん坊的な感んじだったようですね。今はすっかり牙が抜かれてしまいましたけど(笑)
ーー昔から音楽には興味があったんですか?
始めの頃は体操選手になりたくて、次は建築士になりたくて音楽は小さい頃の夢ではなかったですね。ただ、中学校の時に先輩がギターを弾いてるのがかっこよくて自分も買って、それからギター弾くのが楽しくてどんどん好きになっていきました。でも、いろんなものが長続きしなかったんですよね。水泳、野球、サッカー、体操、ブラスバンド、色んなものを習っても全部中途半端で、建築士になりたくても建築科に受からなくて土木科にいくとか。中途半端な自分って言うのが20歳くらいでモヤモヤしてくるんですよね「なんでこう中途半端なんだろう」って。その思いがアウトプットとして出たのが19歳の時に自分で音楽を作った時なんですよね。そうやって内側で渦巻いてる気持ちが一曲を作ることによって心が軽くなるような0から何か生まれたような感動があって、その時に自分に葛藤もあったり自信がなかったり、自分の中にある何かを達成できないような弱さとか色んなものを抱えながら、
どんなにダメだなって弱音を吐いたりしても、そんな時もあるよねって音楽はそういう風にポジティブに変える力がある と思っていて、そういう力に19歳の時に魅せられてそこから本当の意味の音楽が大好きになって、今に至ってますね。
ーーツール・ド・東北のテーマソング「LIFE」こちらはどんな思いで作られたのですか?
震災があっていろんな意味で東北と関わって何か出来たらいいなって思いを持ってる方多いと思うんですよね。ツールド東北もその一つの表現で、石巻から気仙沼まで沿岸地域を自転車で走るのってアップダウンもあるので大変なんです。でも、日本中の自転車好きが経済活動も含めて沿岸地域を応援するっていう思いで集まって来て、そのライダーを仮設住宅の方とか新しく家を再建された方も含めて地元の方が沿道で応援してくださるっていう、応援してるし応援されてるっていうのがコンセプトなんですよね。それって一方通行じゃなくて良いなって思って。日常生活でもきっと応援してるけど、応援されてることってたくさんあるじゃないですか。歌詞にもあるんですけど、 応援してるようで応援されてたりして っていう、人って繋がってるんだなっていうテーマで作りました。
ーー石巻でのライブはどうでしたか?
お祭りみたいな良い雰囲気があってその中で演奏させてもらいました。一足早く秋っぽかったですし、風も気持ちよくて石巻に持ち寄るみんなの思いが暖かくてよかったですね。
ーー今回のアルバムはレミオロメンのメンバーの方も参加されたということだったんですが、これはファンの方も嬉しい思いがあったんじゃないですか?
ファンの方にも喜んでもらえるんじゃないかなと思いましたし、バンドを休止して今はそれぞれ自分たちがやろうとしてることに一生懸命に生きてて、僕自身はソロ活動していてどこかそれぞれが何か節目を迎えたのかなって。最近ライブを見に来てくれるようになって、自分にとって大切なアルバムが出来そうなんだよねって話をしたら二人が「じゃー手伝うよ」って気軽に言ってくれて、ドラムの治が2曲ベースの啓介が3曲それぞれ違う曲で演奏してくれて、僕にとっても嬉しい出来事でしたね。6、7年くらい間があるんですけど、全然そんな感じがしなくてびっくりしましたね。
ーー今作が出来上がって心境の変化などありましたか?
経験値が上がってくると、ある意味テクニックみたいなもので曲は作れなくはないと思うんです。でもやっぱり”0から1”になる瞬間っていうのはテクニックではどうにもならなくて、テクニックって色んなものの組み合わせだと思うんですよね。それって本当の意味での新しいクリエイティブなものじゃないような気がしていて、今作を作ってみて”0から1”になる瞬間の立ち上がってくるものを大事にしたいなって改めて感じました。何歳になってもきっとそういうもんなんだろうなって思いますね。
ーー歌詞はどんな時に書かれたりするんですか?
曲を作りながら並行して書くことが多いですね。曲も作ってアレンジもしながらパソコンの前で楽器とか弾きながら傍にノートを置いて書くこともあれば、携帯電話の「エバーノート」に書き込んでいくこともあって、移動中とか旅先で書いたりもしてますね。
プライベートについて
ーーお休みの時は何をして過ごされますか?
この前映画の「ダンケルク」を見に行きました。”クリストファー・ノーラン”っていう監督は想像力がすごくて好きなんですけど、実話なだけにすごく感動しましたね。
後は、ライブを見に行くのも好きなんですけど、お酒も飲めてゆっくりライブが観れるような大人なライブハウスがあって、そういうところにフラッと行ってジャズを聴いたりとか、キューバ音楽を聴いたり、違うジャンルのものを聴いて刺激を受けるっていう時間がとても楽しいですね。
ーー今ハマってることはありますか?
一週間に何回かフットサルをやっていて、ソロになってからスタジオに毎日通って煮詰まった時期があって、頭だけ疲れるんですよね。でも体は元気なんですよ。バランスがすごく悪くて夜眠れないとか、そういう時にフットサルを始めたら、心と体のバランスが取れてきて、運動にもなるし、仲間や友達もできるんです。30代になって色んな友達ができて、みんなでエネルギーを持ち寄って、分け合って、それぞれまた仕事に行くってとてもいい時間で刺激にもなりますね。
ーー藤巻さんは山登りもされるんですよね?
山登りはアルピニストの野口健さんと出会ってから健さんが色んなところに連れて行ってくださって。ネパール、ヒマラヤ山脈に3回、カラパタールって山とゴーキョピーク、アンナプルマのベースキャンプまで行ったり。プロの登山家が行くような危ないところはいかないんですけど、色々連れていっていただいてアラスカの最北端にも行ったり。健さんも僕も写真が好きでお互い旅では写真をたくさん撮ります。
ーー色んな国に行かれるのも音楽を作る上で刺激になりますか?
旅には何個か良いところがって、東京で音楽をやっている自分がいて、旅では物理的に遠くに行くじゃないですか、そうすると精神的にも遠くに行けるんですよね。だから音楽をやっている自分を客観的に見れて、ちっちゃいことにこだわってたり縛られていた自分がどんどん解放されて行くというか。東京で音楽をやってる時はそう思えないんですよ。これもこれも大事なんじゃないかなっていちお取っておこうとか、旅にはそういう無駄なものが断捨離されていく感覚があってハマりましたね。
ーー結構アクティブに動かれることが多いんですね?
そうなんですよね。20代が大体レミオロメンなんですけど、その頃はバンドのことだけやってたんで、アクティブでもなかったんですけど、ソロになってからですかね、音楽以外に出会いが増えて体を動かしたり色んな繋がりが出きて、最近では禅が好きで、禅の講義を聴いたりとか興味の赴くままに触れて行くっていう感じがありますね。
ーー落語もお好きと伺いましたが?
春風亭 一之輔さんっていう方がものすごく素敵な落語家さんなんですけど、彼の落語を聞きに行ったりとか、立川 談春師匠の落語を観に行かせていただいたり。車で一番聴くのは落語じゃないかな?
ーー藤巻さんのリラックス方法はありますか?
友達と飲みにいくことかな。フットサルやった後に皆でワイワイ飲みに行って、さっきのあのプレイはどうだったとかどうでも良い話をしてるのが楽しいですね!
ーー前回のインタビューでは100%に近いくらい牛タンを食べられてると伺いましたが、今日も牛タンは食べられましたか?
完全に食べてますね(笑)ほんとに100%ですね!
ーー宮城の思い出なんかはありますか?
去年からまた「Reborn-Art Festival × ap bank fes 」が復活して「Reborn-Art Festival」っていうのが、9月まで石巻から牡鹿半島で行われていて何回か歌いに行ったんですけど、楽しかったです。そして、大体仙台で牛タン食べて、石巻まで車で行ってライブして帰ってくるっていう。今年は仙台に結構来てると思いますね!
ーー藤巻さんはライブ前、どんなことをして過ごされるんですか?
ストレッチをしたり、毎回ライブにはホットカーペットを持ち込んでその上でゴロゴロ過ごしてるのが好きですね。
ーー今後の目標などはありますか?
自分の持ってるものを超えていけるような、もっともっといろんな意味で年相応な音楽を作っていきたいとも思うし、より世界と関わって行く音楽を作ってみたいなって思います。表現としても、歌うこと、演奏することがもっともっと上手くなりたいです。
ーー最後に仙台のファンの方や、読者に向けてメッセージをお願いします!
今回のアルバム「北極星」はスケール感もすごくあるんですけど、日常っていうミニマムな世界もあって結構面白いバランスでこの世界を捉えてるアルバムだと思うので、楽しんで聴いて頂いて、生ライブも是非見ていただきたいなと思います!
CD情報
*初回限定盤のみスリーブケース仕様、ボーナストラッックとして「LIFE」「3月9日」を収録