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虐待から目を背けない…自分が加害者にならないために知っておくべきこと(4)

こども虐待防止オレンジリボン運動のHPhttp://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php)では、“子育てに苦労している親”についても書かれてあります。

虐待することが良くないことですから、虐待しそうになったら誰かに相談する、児童相談所に相談する、ということが解決の第一歩ですが、家庭内のことなので秘密にする人が多いのが現状です。

また「虐待する人=悪」という認識からか、保身のために隠す大人も多いのです。そのため、大半の虐待は表面化することがありません。

ここで注意していかなければならないのは、“子育てと愛情は別のものである”という認識を持つことです。前回に引き続き、自分が加害者にならないために知っておくべきこと、についてご紹介します。

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【子育ては愛情でするものではない】

「母親は母性があって、自分のこどもは無条件で愛するものだ」という認識が、多くの人の中にあります。しかし、これは理想であって、存在しない幻想と言ってもいいかもしれません。

こどもを愛せない親もいますし、常に一定量の愛情で接することができるはずもありません。親も人間ですから、気分の変化もありますし、愛情には個人差があるでしょう。

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ある人が、こどもを出産したあとこう言いました。「私はこどもを産んだのに、赤ちゃんを全然かわいいと思えない。私の頭はおかしいのだろうか」

実は、このように“自分の子なのに愛情がわかなくて困っている”という母親は多く、「なぜかわからないけど可愛いと思えない」と育児を放棄する人も少なくありません。

ここでも言えるのは、“子育て”はある意味で“仕事”として割り切る必要がある、ということです。もし学校の先生が「こどもを可愛いと思えない」んだとしても、仕事はしなければなりません。

また、日々刻々と変わる親の気分や感情の上下で、こどもへの接し方が変化するのでは、“一定のサービスを提供できない”ということになります。

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もちろん、子育てによって賃金が発生するわけではありませんが、「母親=愛情があってしかるべきもの」という不安定な定義に振り回されて、その不安定を子育てに反映することが、こどもにとって良い教育になるとは言えないでしょう。

昨日は気分がいいからご飯を食べさせてあげたけど、今日は憎悪しか沸かないからご飯をあげない。昨日は愛情がたっぷりでいっぱい抱きしめたけど、今日は顔を見るだけでムカつくから殴る。これは虐待です。

親は、職業です。子育ては仕事です。だからと言って、常に一定のサービスを提供できるかと言えば不可能ではありますが、気分がいいときも悪いときも、気分に振り回されない対応を心がけましょう。

(5)へつづく

この記事を書いた人
福永知世
1983年青森市生まれ、宮城学院女子大卒。福永緑丸名義で共著『怪談実話コンテスト傑作選 痕跡』(メディアファク トリーMF文庫)がある。http://milkgraph.web.fc2.com/
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