妊婦さんを見て、穏やかな気持ちで「頑張ってね~、体大事にしてね~」と、思うことができない。個人的な感情が絡んで、祝福することができない。
そんな悩みを抱えた女性は、今とても多いと言います。結婚したくてもできない女性、結婚したけどなかなか妊娠できない女性、または仕事が忙しくて結婚・妊娠どころではない女性。
流産や堕胎の経験から素直に祝福することのできない女性。親から愛されなかった経験から自分の子供時代を投影してしまう女性。
「妊婦さんへの嫉妬心」と一言で言っても、原因は様々ですし、そこには複雑な感情が入り混じっているものだと思います。
そんな嫉妬する自分を「醜い!」とか「心が狭い!」と否定してしまうと、ますます苦しくなってしまいます。
最終回の今回は、「“ないものねだり”はもうやめる!」についてお話したいと思います。
1、嫉妬心に振り回されないこと
第1回でもお話したように、嫉妬心は誰もが持っているものです。それをうまくコントロールさえしていれば、振り回されずに済みます。
自分は健康診断前で、何も食べられないのに、隣の人は美味しそうに食事していたら、悔しいですが「いいもん!健康診断終わったらいっぱい好きなもの食べるもん!」と思ってやりすごします。
まさかそこで「あなた、私が絶食中なのに、よくも美味しそうに食べてくれるわね。人のこともっと考えたらどう?」と言ったり、「お腹すいた!ムカつく!」と言って殴りかかるわけにはいきません。
そっと席を立って別の場所に移動したり、水を飲んで紛らわせると思いますが、それでいいのです。
妊婦さんに対しても同じ。嫉妬心というのは、一時的に「ぐわーっ!」と上がってくるもので、時間が経てば収まります。
違うことを考えたり、楽しいことに思考を切り替えたり、「ま、いいか!」とか「そういうこともあるよね!」と区切りをつけて、嫉妬心をうまくなだめて行くようにしましょう。
2、妊婦さんの実態
マナーの悪い妊婦さんや、モラルのない母親、というのも確かに世の中にはいて、そういう人を一度見てしまうと「今の人たちって全部こうなの?」と思ってしまいます。
そのため、どこか固定観念で「この妊婦さんもマナーが悪いに違いない。きっと出産しても子供のしつけができない母親になるに違いない」みたいな決めつけをしてしまうこともあるかもしれません。
金髪だったり、化粧が濃いと「母親のくせに」とか「妊婦のくせに」と思ってしまうこともあるのではないでしょうか。
しかし、今の世の中、妊婦さんでも出産ギリギリまで仕事をするのが当たり前になっていますし、仕事をするということは身だしなみも整えなければいけない。結果的に金髪も化粧も、“社会人としての身だしなみ”なら、致し方ないのです。
なぜこんなにも私たちは、「妊婦は〇〇でなければならない」という決めつけをしてしまうのでしょうか。
私自身も妊娠・出産の経験から、「いやいや、これは想像していたよりしんどいぞ(妊娠悪阻がひどかった)」と感じました。地面を這いつくばって病院まで行ったこともあります(比喩でなくガチで)。
それだけ、ひとりの赤ん坊を出産する、ってのは大仕事。何もしないで楽チンに出産できる人はいないのですから、あまり厳しい目で見ないで、せめて「まあ、私は関係ないけど頑張ってね」くらいの気持ちで見てあげてほしいな、と思います。
何かを「羨ましい!」と思っても、それは“ないものねだり”です。もしかしたら、目の前の妊婦さんは、また別の誰かを見て「羨ましい」と思っているのかもしれません。「羨ましい」には、キリがないのです。