「駅弁」とは、読んで字の如く「駅で販売しているお弁当」のこと。主なターゲットは鉄道旅客の人たちで、新幹線や特急、寝台での長旅には欠かせないお楽しみのひとつです。色とりどりに敷き詰められた豪華な駅弁って、やっぱりテンション上がりますよね。私はダダ上がりします。
しかし一方で、鉄道を利用する機会がない限り、日常生活の中ではあまり目を向けられていないのが現実。さすがに仙石線や仙山線で広げるのはナシでしょう(笑)。モッタイナイですよね。家で食べたってオフィスのランチにしたっていいじゃないか!
というワケで今回は、めくるめく駅弁の世界へご案内。ちなみに、料理作るのめんどくさいとか皿洗うのめんどくさいとか、そういう私情が8割ほど入っています。
日本で一番駅弁の種類が豊富なのは仙台駅!?
駅の構内をうろうろしていると、あちこちで駅弁屋さんを見かけます。2階に3軒、3階に2軒、新幹線ホームはそれこそ数十メートルおきにゴロゴロと。
※改築の影響で若干の差異があるかもしれません
他にもキヨスクやコンビニ内にも通常のものとは別に駅弁コーナーが設けられていて、おまけにそれら全て、微妙に品揃えが違うのです。
10年前には「一つの駅で最も多くの種類の駅弁を販売している駅」のトップに輝いたこともある仙台駅。競合企業が3社と比較的多く、どんどん新しいメニューが登場していることから、今もおそらくその地位を守っているものと思われます。
仙台駅は『ウェルネス伯養軒』『こばやし』『NRE』の三つ巴戦
仙台駅のお弁当は、この3社のいずれかによって作られているものなのです。競い合うことで、斬新なお弁当が生まれたり質が上がったりするのは素晴らしいことですね。
では、ようやく本題ですよ! 各3社のお弁当から3つずつチョイスしてみました。気に入っていただける一品があるといいのですが。
明治23年創業の老舗の味!-ウェルネス伯養軒
『笹巻きえんがわずし』(1100円)
これはもう「鉄板」。家計事情が厳しかろうが何だろうが、何だかんだいって月イチのペースで見つけたら即確保、お持ち帰りするくらい大好きな駅弁です。普段は譲り合いの精神を重んじる私も(←嘘つけ)、この品の前では夜叉と化します。
女川産のカレイのえんがわと、シソの葉&生姜甘酢漬けが練り込まれた酢飯を、清廉な笹の葉で包んだ押し寿司。
えんがわの脂とさっぱり、かつ、重厚な酢飯が実によく合い飽きさせません。特製の昆布醤油もいい仕事をしてくれます。真っ白なお寿司というのも綺麗ですよね。
『金華さば棒寿司』(1250円)
押し寿司と棒寿司ってどう違うんだろう…なんてことはさておき(おくな)、黒酢を使って香り豊かに締められた金華山沖獲れ獲れのブランド魚「金華さば」の濃厚な味わい。よくぞ宮城に生まれけり、と叫びたくなる逸品です。
まぁ私、生まれは北海道なんですけどね。でも、30年近くも住んでいたらもうこっちの人ということでいいよね。
『鮭はらこめし』(1100円)
亘理町が誇る郷土料理、鮭の親子丼こと「はらこめし」はやはり外せません。私がはらこめしが好きだからとかイクラ萌えだから、という理由だけじゃないんです、外せないんです!
大事なことなので二回言いました。
伯養軒秘伝の特製醤油でふっくらと炊き上げられた鮭とご飯。それを鮮やかに彩るイクラのオレンジ。魚の皮までキッチリ喰らい尽くすべし。
あの有名人の似顔絵が目印!-株式会社こばやし
『ひと口牛たん麦ごはん』(550円)
仙台噌味に漬け込んで仕上げた牛タンを、特製麦飯でサンドした一品。
表面の焼き色が食欲をそそり、歯ごたえもずっしりとカバー。何よりこのプチプライスが嬉しいですね。
容量は3切と、表面上はちょっと物足りなく感じるかもしれませんが、なかなかの食べごたえです。おやつ感覚で、オフィスの同僚と分け合うのも楽しいかも。
ま、私は分け合いの心など持っていませんが。
『むすび丸弁当』(900円)
あの宮城県観光PRキャラクター「むすび丸」のキャラ弁当!これは子供さんにもウケが良さそうですね。
鳴子ブランドの「ゆきむすび」を使用し、宮城の海の幸山の幸を盛り込んだホッとする品揃え。
ちなみに、むすび丸の大好物「さんま」も入っています…もしかしてコレがむすび丸のギャラ?
仙台駄菓子のおまけ付きというのが心憎いです。
『宮城県産 牡蠣と炙り煮あなご弁当』(1100円)
地場産の牡蠣とあなごをぎっしり詰め込んだ、三陸の恵みたっぷりの豪華な駅弁。パッケージからしてもうそそられます。
比較的新しく発売されたニューカマーといったところでしょうか。特に、あなご。炙った上に煮る…だと…!? 美味くないワケがないじゃないか!!
…と言いつつも、実は昔当たったことがあって牡蠣は旦那へそっとスルー(笑)。ほくほくのあなごを肴に、美味しいお酒をいただきました。
JR東日本グループの外食部門-NRE(日本レストランエンタプライズ)
『うにめし』(1150円)
まさにウニ好き必食の一品と断言したい! ご飯自体にもたっぷりとうにが混ぜ込まれている上に、さらに含め煮のウニがこれでもかというくらいドン!
これ以上の贅沢がありましょうか。磯の香りがいっぱいに漂う、最強のウニ丼です。いくらの醤油漬けや青菜(?)のわさび漬け、酢蓮根が箸休めにピッタリ。どんどん箸が進む味に整っています。
気が付けばあっという間に空に。もうちょっとパッケージ、大きくてもいいのよ…?
『金と銀のさんま寿司』(950円)
気仙沼市の老舗廻船(かいせん)問屋・斉吉商店が開発に携わった駅弁です。酢飯は大崎産のひとめぼれ。
長年継ぎ足してきた「秘伝のかえしだれ」で甘辛く煮上げたさんまと、しっかり酢〆されたさんまが存分に味わえます。
斉吉商店さんは、件の震災の津波による壊滅的な被害に遭われたそうですが、この「秘伝のかえしだれ」が奇跡的に難を逃れて復活に至ったのだとか。
震災をくぐり抜けてきた力強さの象徴するエピソードですね。
『女将のおもてなし弁当~宮城・松島編~』(1150円)
こちらも震災から時を経て復活した『女将のおもてなし弁当』シリーズの一つ。細かく10区画に分けられ、松島の名所「五大堂」の風景をイメージしているそうです。
先付から香の物で構成される懐石料理風に、順番に箸を巡らせていく楽しさがありますね。メインとなるのは松島自慢の牡蠣めしとうなぎご飯。
特に牡蠣は、田楽やマリネ風にアレンジを駆使したおかず類でも大活躍。隠れた地元名物・アサリもしっかり盛り込まれています。
まさに松島づくし、これぞおもてなしの心…女将さん、ありがとう!
おわりに:「駅弁」探しはまるでトレジャーハンティング
仙台の看板である牛たんをテーマに戦わせるという案もあったのですが、「定番」という言葉が嫌いなので今回はスルーさせていただきました(こばやしさんの『ひと口牛たん麦ごはん』は面白かったので別)。やはり宮城のもう一つの顔、南三陸の海の幸が際立った印象でしたね。
通年のメニューに絞って紹介させていただきましたが、では、どこの売り場に何が販売されているのか、といえば不確定と言わざるを得ません。何しろ50種類以上にものぼる種類、いつもそこにある訳ではないし、四季に合わせて季節の駅弁がメインに並ぶ時もあるし。しかし、それもまた醍醐味の一つだと思えば楽しい気分になってくるはず。
私は引きこもりなのでネット通販で済ませていますが。
今回紹介しきれなかった魅力的な駅弁はまだまだあります。朝早くから終業時くらいまで営業している駅弁コーナ。通勤途中に、買い物のついでにちょっと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。