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虐待から目を背けない…自分が加害者にならないために知っておくべきこと(7)最終回

現在、虐待死亡事例は年間50人を超え、一見豊かに見えるこの国の、心の貧困が浮き彫りになっています。

死なないまでも、一度虐待された記憶は消えることなく、おそらく一生そのこどもの心に深い傷を残します。それでも親は、「自分は悪くない」と事実から目をそらし続けます。

自分が虐待の加害者にならないために、虐待に関与しないために、今からできることはなんでしょうか。

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【虐待しない大人になる…自分を大事にできる人になる】

これまで、虐待する大人についてご紹介してきましたが、“虐待しない大人”とはどんな人でしょうか。誰かを虐待しなくてもいいくらい、人生が充実していて、生きているのが楽しい人かもしれません。

または、しっかり常識を知って、様々な経験から物事の善悪を判断できる人かもしれません。こどもが好きで、みんなに優しくできる善意ある人かもしれません。

しかし何より言えるのは、目の前の人を大事にできる人は、「自分を大事にできる人」です。

たとえば、こどものテストの点数が悪くて殴ってしまった親にすれば、きっとこどもは自分の分身のように感じていて、「こんな簡単なこともできない“自分が”恥ずかしい!情けない!」と思うのではないでしょうか。

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それは、対象がこどもではありますが、自分に対しての虐待が日常的に脳内で行われている可能性があります。

「こんなこともできないのか!みんなできてるのに!」という考えが、常に頭の中にあるので、自分を大事にできないし、こどもも大事にできないのです。

自分を大事にするとは、自分を認めて、褒めてあげること。自分がここにいていいんだ、これをやってもいいんだ、愛されているんだ、という肯定感を得ることです。

自分を愛せない人間が他人を愛せるわけがない、と言いますが、まさにその通りで、自分を大事にできる人になれば、こどもも大事に思うことができるようになるでしょう。ただし、自分を愛することと、自己中心的になることは別です。

【虐待のない世界】

今は世界的に虐待が日常化していて、ニュースで虐待死が報じられるたびに、胸が痛みます。「赤ちゃんはすばらしい存在だ、可能性の塊だ」なんて出産前の冊子には書かれてあったのに、変だな、と思います。

「弱い立場の者は虐待されてもしょうがない、弱肉強食だ」と言われればそれまでですが、少子化が騒がれているんだから、もっとこどもが大事にされていいんじゃないか、と正直思います。

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また、私のこども時代のように、学校へいくときは表情を作って登校し、帰宅時は肩を落として帰る、という毎日を過ごすこどもがたくさんいるのかと思うと、もっと学校側が虐待をチェックする方法を確立してもいいのになあ、と思います。

こどもは虐待されている、という自覚がなく「自分が悪い」と思い込んでいます。これからの世の中を担うこどもたちに健全な肉体と精神を確保するためにも、“虐待”についてもっと認知が広がってほしいと思います。

この記事を書いた人
福永知世
1983年青森市生まれ、宮城学院女子大卒。福永緑丸名義で共著『怪談実話コンテスト傑作選 痕跡』(メディアファク トリーMF文庫)がある。http://milkgraph.web.fc2.com/
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