こども虐待防止オレンジリボン運動のHP(http://www.orangeribbon.jp/about/child/abuse.php)では、“子育てに苦労している親”についても書かれてあります。
虐待することが良くないことですから、虐待しそうになったら誰かに相談する、児童相談所に相談する、ということが解決の第一歩ですが、家庭内のことなので秘密にする人が多いのが現状です。
また「虐待する人=悪」という認識からか、保身のために隠す大人も多いのです。そのため、大半の虐待は表面化することがありません。
ここで注意していかなければならないのは、“子育てと愛情は別のものである”という認識を持つことです。前回に引き続き、自分が加害者にならないために知っておくべきこと、についてご紹介します。
【子育ては愛情でするものではない】
「母親は母性があって、自分のこどもは無条件で愛するものだ」という認識が、多くの人の中にあります。しかし、これは理想であって、存在しない幻想と言ってもいいかもしれません。
こどもを愛せない親もいますし、常に一定量の愛情で接することができるはずもありません。親も人間ですから、気分の変化もありますし、愛情には個人差があるでしょう。
ある人が、こどもを出産したあとこう言いました。「私はこどもを産んだのに、赤ちゃんを全然かわいいと思えない。私の頭はおかしいのだろうか」
実は、このように“自分の子なのに愛情がわかなくて困っている”という母親は多く、「なぜかわからないけど可愛いと思えない」と育児を放棄する人も少なくありません。
ここでも言えるのは、“子育て”はある意味で“仕事”として割り切る必要がある、ということです。もし学校の先生が「こどもを可愛いと思えない」んだとしても、仕事はしなければなりません。
また、日々刻々と変わる親の気分や感情の上下で、こどもへの接し方が変化するのでは、“一定のサービスを提供できない”ということになります。
もちろん、子育てによって賃金が発生するわけではありませんが、「母親=愛情があってしかるべきもの」という不安定な定義に振り回されて、その不安定を子育てに反映することが、こどもにとって良い教育になるとは言えないでしょう。
昨日は気分がいいからご飯を食べさせてあげたけど、今日は憎悪しか沸かないからご飯をあげない。昨日は愛情がたっぷりでいっぱい抱きしめたけど、今日は顔を見るだけでムカつくから殴る。これは虐待です。
親は、職業です。子育ては仕事です。だからと言って、常に一定のサービスを提供できるかと言えば不可能ではありますが、気分がいいときも悪いときも、気分に振り回されない対応を心がけましょう。
(5)へつづく