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虐待から目を背けない…自分が加害者にならないために知っておくべきこと(1)

全国の児童相談所(児相)が2015年度に対応した児童虐待の件数が、前年度比16.1%増の10万3260件に上り、はじめて10万件を超えました。

表面化していない身体的虐待、性的虐待、また精神的虐待も含めると、この10万件という数字は、氷山の一角でしかありません。

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統計局(http://www.stat.go.jp/data/nihon/02.htm)によると、平成28年7月現在で、19歳未満の人口は約2200万人。単純計算で、220人にひとりが虐待を受けている、ということになります。

さらに、表面化していない虐待も含めると、この比ではありません。最近は“毒親”や“教育虐待”というワードも出てきて、身体的な虐待以外にも、子供の成長に大きく影を落とすことが伝えられています。

では、“自分が虐待の加害者にならないために”と考えた場合、どのような点に注意していかなければならないのでしょうか。

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【まずは虐待の事実を受け止めて】

世の中の多くの人が、虐待を経験したことがない自分の経験から「虐待ってのは聞いたことあるけど、ほんとにあるの?」と考えているかもしれません。

噂には聞くし、事件も知ってるけど、自分の身近ではそんなことはない、平和だ、自分は関係ない。そうやって、自分から切り離して、自分の安全を確保しているのです。

このような“自分は関係ない”と思っている人の目の前に、もし虐待をされている可能性のある子供が現れた場合、彼らは子供に対して「いやいや、気のせいでしょう?」とか「たまたまお母さんがイライラしてたんじゃない?」

「そういうことはよくあることだよ」「何か悪いことをしたから叱られたんでしょう?」と、虐待の事実から目を背けようとします。

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これは、セクハラを訴える女性に対して「君がいやらしい服装をしていたのが悪いんだよ」と言うのと一緒で、虐待の被害者はここで2度目の精神的虐待を受けることになります。

つまり、“相談された・目撃した”事実から目をそらし、なかったことにする、知らないふりをする、被害者に責任を押し付ける行為も虐待に含まれる、ということです。

身に覚えのある人も多いかもしれませんが、このように「困っている人をさらに苦しめる行為」が常識のようにまかり通っているのが現実です。

これ以上虐待を広めないようにするには、まず“虐待という非道な行為がこの世の中に実在している”という事実を認めることです。

(2)へつづく

この記事を書いた人
福永知世
1983年青森市生まれ、宮城学院女子大卒。福永緑丸名義で共著『怪談実話コンテスト傑作選 痕跡』(メディアファク トリーMF文庫)がある。http://milkgraph.web.fc2.com/
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