意外と身近にある発達障害。自分自身や周囲の人も、その可能性はゼロではありません。前回は、女性の発達障害、についてお話しました。
今回は、すでに発達障害と診断された、またその疑いがあって悩んでいる人に向けて、生活面や仕事面で、どうしたらいいのかについてご紹介したいと思います。
1、発達障害の治療
まず、発達障害とは、根本的に治癒できる病気ではありません。人はみんな顔形が異なりますが、それと同じく、せいぜい「鼻の形が違う」「目がちょっと大きい」くらいの違いです。
それも、大きく違う場合もあれば、目視ではわからないくらいの違いかもしれません。そのため、発達障害の診断を受けたとしても、必ずしも治療が必要ということではありません。
ただ、症状が酷い場合は、投薬治療や生活療法。また、うつ病などの二次障害を予防する治療が必要な場合があります。
しかし、あくまでこれらは対処療法となり、症状が酷いと自覚した場合は、やはり専門の医師に相談してみることが大事です。
2、生活面について
もし発達障害であっても、普通に生活できる場合は? 問題なく生活できているのなら、何もしなくていいのです。普通に生活していていいのです。
生活面について、発達障害の症状が出る場合。たとえば、「忘れ物が酷い」という症状がある人は、カバンに入れて持っていくもの一覧を前日にリストアップして紙に書いておきます。
そして、毎朝それをチェックしながら持っていくようにすれば忘れ物を防止できるでしょう。もしくは、部屋の鍵をするのを忘れるのであれば、ダブルチェックをしたり、手にペンで書いておく、というのもいいかもしれません。
このように、苦手な部分をしっかり把握して、それによって問題がある場合は、ひとつひとつ自分に有効なルールを取り入れていく、ということが生活をよりスムーズにしていく方法です。
3、仕事面について
発達障害の人は、一般的に接客業や電話対応、営業などが向かないとされています。しかし、できているのなら無理に路線変更する必要はありません。
細かい作業や、反復の多い作業、ひとつのことに集中する、デスクワークが得意とされているので、得意な分野を生かす職業を選ぶといいかもしれません。
発達障害以外の人にも言えることですが、「自分がどんな人間か知って、うまくプロデュースする」ということが、仕事選択において重要です。できない仕事を「できない」と言いながらするのは時間の無駄かもしれません。
また、多いのが「職場の理解を得られない」というパターン。仕事はできるのに、職場の人間関係に馴染めない場合です。
これについては、簡単に「理解してくれないなら辞めちゃえ」とは言えないのですが、今の職場や人間関係に固執するだけが手段ではないと思います。
転職もひとつの方法ですし、発達障害の人のサークルに所属してセッションすることで、そこから人との関わり方を学べるかもしれません。そうすると、職場の人間関係が改善する可能性もあります。
我慢する、ひたすら耐える、ということだけが賢い選択ではありません。もし何か悩みがあるのなら、アクションを起こすことで改善できる可能性があることを知っておきましょう。
(6)へつづく。