私が仙台市で働いていた頃、妊娠初期はつわりが酷く、仕事を休まなければならなかったのですが、いろいろ理解を得られずに結局会社を辞めることになりました。
これは、これから結婚・妊娠・出産を控える女性や、つわり経験のない経産婦さんにも知っておいてもらいたいお話です。
男性にはいくら言葉で伝えようとしても、その苦しみは伝わりませんし、まして同性同士で「そんなことで弱音を吐くなんて弱すぎ」「つわりなんて病気じゃないんだから甘えるな」と言ってしまっては、相手を否定すると同時に自分を否定することになりかねません。
今回は、妊娠中の“つわり”についてのお話です。また、あわせてこちらの記事「妊娠中に人にされて一番つらかったことは? その対処法を教えて!」(http://woman.excite.co.jp/article/love/rid_Cobs_429034/)もご参考ください。
1、ずっと船酔いが続いている状態
人によってつわりの症状は様々です。食べづわり、と言って、四六時中何か食べていないと気持ち悪くなる人もいますし、全く症状がない人もいます。
私の場合、つわりの症状は重く、安定期を過ぎる7ヶ月頃まで、眠っている時間以外、ずっと船に乗っているような状態でした。
そんな状態なので、ご飯もろくに食べることができず、水の摂取も難しくなったとき、病院で点滴してもらうようになりました。
お腹は大きくなりますが、体重が変わらず、筋肉がどんどんなくなっていくので、常に手足の筋に沿って痛みがありました。
そんな中、会社の上司には「ねえ、そのつわり、いつ終わるの?」などと言われ、結局会社を辞めざるを得なくなりました。
2、理解を得られないのが一番辛い
会社を辞めたのは仕方がないことでしたが、一番辛かったのは周囲から白い目で見られたことでした。
実家の母はつわりが軽かった人なのですが、「そんなことで会社休んでるの?」「水が飲めないなんて根性がないからだ」などと言われ、「これは自分の努力が足りないからなのか?」と自問自答をしました。
いくら頑張って飲んでも、胃が拒否して噴水のように口から水が吹き出しますし、トイレと布団の往復で一日が過ぎて行きます。
生理痛もそうですが、軽い人もいれば重い人もいて、かと言って「病気じゃない」と言われてしまえば、痛いのは気のせいか、というとそういうわけではない。
まるで痛がっていることが大げさな演技かのように白い目で見られるのと同じように、「つわり」に対して世の中の理解がないことに、そのときはじめて気がつきました。
3、「つわりは辛いよね」の一言で
つわりが酷いから、なにかして欲しい、ということではありませんでした。ご飯が食べられなくてもなんとか生きていましたし、病院で点滴に打っていればなんとか赤ちゃんにも栄養がいったでしょう。
ただ、苦しみがいつまで続くのかわからない恐怖と、赤ん坊の健康のことを考えたとき、「つわりが起こるのは自分が悪いからなのではないだろうか」と思うほど、追い詰められました。
そんなとき、独身の友人がメールで、ただ一言「へえ、つわりかあ。私は経験ないけど、辛いんだよね」と送ってくれました。
その一言で、救われた気がしました。「つわりって辛いもんだ」ということを、理解してもらえたような気がしたのです。
それまで周囲に「つわりなんて気持ちの問題」「つわりなんかに負けていて母親になれると思ってるの?」「このくらい我慢したら?」と言われていた私にとって、この理解が唯一の救いでした。
もし周囲に、つわりに苦しむ人がいたら、その人には理解を示してあげてください。妊娠もつわりも病気ではありませんが、体調が悪いのは事実です。
死ぬことはないかもしれませんが、母親は自分の栄養を赤ん坊にあげて、体は悲鳴をあげています。
軽度・重度、様々症状も異なりますが、なにかしてあげる、というより先に、まずは「つわりが辛いということを理解してあげる」ということを優先してください。それだけで、きっと少しは気持ちが楽になるはずです。
そして、これから結婚・妊娠を控えている女性の皆さんも、自分が周囲に優しくすることが、周囲から優しくされることに繋がることを知ってください。何事も、巡り巡って自分に返ってくるものです。