私は、局 順子(つぼね じゅんこ)です。
新人の仙道 舞香(せんどう まいか)は、ようやくちゃんとお茶を入れられるようになりました。
※前回の失敗エピソードはこちらをご覧ください。
局 「仙道さん、新人は、積極的に電話に出るようにしてね。とにかく、明るく、ハキハキと出ることよ!」
仙道 「はい!」
返事がいいのが取り柄ですが……。
トゥルルル トゥルルルル トゥルルル トゥルルル……
仙道 「もしもし、株式会社 杜都広告(もりと? こうこく) 仙道です。」
お客様 「青葉物産の○※#ですが、伊達課長はいらっしゃいますか?」
仙道 「伊達課長ですね。ちょっとお待ちください。」
仙道さんは、受話器を抑えて課長を呼びました。
仙道 「課長!伊達課長!!! 青葉物産からお電話です。」
課長 「青葉物産のどなたから?」
仙道 「えっと、聞き取れなかったんですけど、年配の男の人の声です。」
課長 「年配って…大きな声で…わかったから、転送して。」
仙道 「はい。」
課長 「お電話かわりました。伊達ですが……。ああ、常禅寺社長!大変失礼いたしました!」
課長は慌てて席を立ち、受話器を持ちながら頭を下げていました。
課長 「局さん、仙道さんにちゃんと電話応対の仕方を教えておいてよ。社長に失礼しちゃったじゃないか。」
局 「課長、申し訳ございません。仙道さん、どなたからの電話かきちんと確かめてから取り次がないと。」
仙道 「声がこもっていて聞き取れなかったんです。青葉物産って言ったら、わかるだろうから、まあ、いいかと思ったんですけど。」
仙道さんの口癖は“まあ、いいか”。
仙道さんの家には固定電話がないというので、電話を取り次ぐ経験がなかったのかもしれません。
“まあ、いいか”では済まないことを教えなければなりません。
電話応対のポイント
①3コール以内に出ましょう。それ以上、お待たせした場合は、「大変お待たせいたしました」と一言添えましょう。
②いつでもメモが取れるように準備をしておきます。
③相手の会社名とお名前を確認・復唱しましょう。
④取り次ぐ場合は必ず保留にします。保留は30秒までです。それ以上、お待たせする場合は、折り返しの電話を提案しましょう。
⑤正しい敬語を覚えましょう。
丁寧な電話応対
お手本として、次の電話は私が取ることにしました。
局「はい、株式会社 杜都広告 局でございます。」
※「もしもし」は言いません。
お客様 「広瀬工業株式会社の宮城野と申します。」
局 「広瀬工業株式会社の宮城野様でいらっしゃいますね。いつも大変お世話になっております。」
※復唱確認しましょう。「いつも大変お世話になっております。」は電話でよく使う決まった言葉です。
お客様 「お世話になっております。恐れ入りますが、伊達課長はいらっしゃいますか。」
局 「伊達でございますね。少々、お待ちいただけますでしょうか。」
※自分の会社の社員は、上司であっても役職をつけずに話します。必ず、保留にしましょう。
局 「伊達課長、広瀬工業株式会社の宮城野様より、お電話です。」
※どなたからのお電話か、きちんと伝えましょう。
課長 「ありがとう。かわります。」
仙道 「先輩、すごい丁寧ですね!」
局 「丁寧だと思った?丁寧かどうか、電話でもお客様に伝わるのよ。」
仙道 「私も先輩みたいな電話応対ができるように頑張ります! でも、ぶっちゃけ、敬語とか難しいんで、覚えるまでは、やっぱり先輩が電話に出たほうが課長は安心なんじゃないですか。」
はあ?何が“ぶっちゃけ”だ!
電話に出て慣れなきゃ、いつまで経っても覚えられないでしょう!
まだまだ教育が必要です……。
※登場人物は架空ですが、この話は事実に基づいています。
出典:Photo AC