第一回で「長女とそれ以外の人の違い」について、第二回で「長女が不器用になった原因」についてお話しました。
恋愛・結婚と考えたときに、これらはどうしても“人とのコミニュケーション”と切っても切り離せないのですが、第一子長女は、“人とのコミニュケーションが苦手”と感じる人が少なくありません。
どうやら、第一子長女は“親の評価”にひどく依存している傾向があるのです。なぜ無償で献身できるのか。それは、ほかならぬ「親からの褒め言葉」を強く欲しているからです。
これは先天的に“そういう感覚を持って生まれた”のではなく、“そうやって依存するように教育された”からにほかなりません。今回は「長女は奴隷化されている」についてお話したいと思います。
1、個人と組織
第一子長女が、その力を発揮できるのは、組織です。みんなをまとめ、でこぼこを補い、できる人とできない人に平等に接する。
これは、親という頂点に対して、兄弟の面倒を見てきたことから、自然と身に付いた技術であり、献身的であることが組織にとって有益になるという関係です。
しかし、現代はたとえ組織に所属していても個人主義が目立ち、同じ社内でも社員同士を競わせたり、要領の良い者が得をする、ということが主流になりました。
「誰かを蹴落としてでも自分が上り詰める」ということが“良い事”とされている状態では、第一子長女のような気質の人は、単に誰かの踏み台になるだけに甘んじているかもしれません。
そのため「仕事の人間関係が辛い」とか「仕事そのものは好きだけど、同僚とうまくいかない」と思って、生きづらさを感じている女性は多いようです。
実は、このような第一子長女こそ、結婚して“組織に所属する”方が安定する場合が多く、またきちんとした組織に所属することによって“必要とされている実感”を得られ、能力を発揮できます。
逆に、そのことに気づかず、個人で戦おうとしている限り、武器を持たないまま戦場に立たされているのと変わりありません。
2、長女は奴隷じゃない!
ところで、上記のように“長女は組織の一部たるが安定”と言ったことに対し、「じゃあ長女も自分の幸せだけ考えて行動すればいいじゃん?」と思われるかもしれません。
もちろん、それができるのならしたらいいでしょうし、長女の呪縛が解けるのならそれに越したことはありません。
しかし、今まで閉じ込められて生きてきた人が、突然「さあ自由だ、好きなところに行きなさい」と言われても、目的もなく彷徨うだけではないでしょうか。
これは奴隷と同じです。奴隷として生きてきた人は、自分が奴隷であることに憤りを感じつつも、奴隷という立場に安息を求めてしまいます。
「お前は長女なんだから〇〇しろ!」とか「お姉ちゃんなんだから!」は、まさに奴隷に対して「お前なんか奴隷のくせに!」と言うのと同じで、言葉で自由を奪っています。
成人して自由になった第一子長女は、それでもなお“親”となる存在を求めて歩きます。この“親探し”が恋愛・結婚と結びついている間は、なかなか幸せを手に入れることができません。
(4)へつづく。