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私は、独身OL歴13年の局 順子(つぼね じゅんこ)です。
今年入社した仙道 舞香(せんどう まいか)の研修係になりました。
ある日のこと、取引先のお客様がいらっしゃったので、仙道さんにお茶出しを頼んだのです。
局 「仙道さん、会議室にお客様と課長の2人分のお茶を出してくれる。お茶道具は給湯室にあるから、お願いね。」
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お客様が帰った後、私と仙道さんは課長に呼ばれました。
課長 「局さん、仙道さんにちゃんとお茶の入れ方を教えておいてよ。お茶葉がいっぱい浮いていて、飲めたもんじゃないよ。恥かいちゃったじゃないか。」
仙道さんが出した湯呑を見ると、茶碗の底にたくさんのお茶葉が沈んでいました。
局 「課長、申し訳ございません。仙道さん、どうやってお茶を入れたの?」
仙道 「普通に入れましたよ。お茶葉って、この緑色でいいんですよね。湯呑茶碗にティースプーン1杯ずつ入れて、お湯を注ぎましたけど。」
局 「急須は使わなかったの?」
仙道 「急須? 使ったほうがよかったですか? 洗い物を減らすために、まあ、いいかと思ったんですけど。」
仙道さんの口癖は“まあ、いいか”。
お客様へのお茶の出し方が、会社の第一印象として評価されます。 “まあ、いいか”では済まないことを教えなければなりません。
【お茶の入れ方】
①人数分の湯呑に沸騰させたお湯を、茶碗の8分目まで入れます。
②お茶葉を急須に入れます。目安は茶さじ1杯で2~3人分です。
③80度くらいに冷ましておいた湯呑のお湯を急須に入れます。
④1分ほどしたら、湯呑に注ぎます。濃淡のないように、茶碗に回しながら入れましょう。
【お茶の出し方】
①茶碗と茶托は別々にお盆にのせて持っていきます。布巾も持っていきましょう。
②ドアをノックして「失礼します」と声を掛けて中に入ります。ドアを閉めてお辞儀をします。
③お盆をサイドテーブルか、後方の空いているところに置きます。サイドテーブルがない場合は、左手でお盆を支え、右手でお茶を差し出します。
④お客様の右側からお出ししましょう。出す順番は、来客の上位者からです。お客様にお出しした後で、こちら側の社員に出します。
右側から出せない場合は、空いているスペースから出します。「こちらから失礼いたします」と一言添えましょう。
⑤茶碗は、正面がお客様に向くようにお出しします。木目の茶托は、目が横向きになるようにしてお出しします。
⑥お茶を出したら、お盆を脇に抱えます。ドアの前でお客様の方を向き「失礼しました」と言って一礼します。
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局 「仙道さん、私が入れたお茶、飲んでみて。」
仙道 「うわぁ、美味しい!いまどき古臭いと思ったけど、急須で入れたお茶ってこんなに美味しいんですね。苦そうだけど、見た目と違って、トロッとして甘味がありますよね。まるで、先輩みたいですね。」
はあ? 私が古臭くて苦そうだっていうの!?
まだまだ教育が必要です……。
※登場人物は架空ですが、この話は事実に基づいています。
参考サイト:お茶の井ヶ田・喜久水庵 おいしいお茶の入れ方